二つのドル 2018 7 28

 アメリカの中央銀行であるFRBは、
利上げを急いでいるようにも見えますが、
慎重に進めるべきだと思います。
 FRBは、アメリカ国内の景気や失業率を見て、
利上げを判断しているのでしょうが、
その影響は、アメリカ国内だけですむわけではありません。
 実は、「アメリカ国内で流通するドル」と
「アメリカ国外で流通するドル」があります。
 このような「国内ドル」と「国外ドル」のバランスが、
世界経済には、非常に重要なことであり、
そこへ「FRBの利上げ」という要素が加わると、
このようなバランスが崩れます。
 つまり、「国外ドル」が減少して、
「国内ドル」が増える可能性があります。
 これは、新興国や発展途上国には、
大きなダメージとなります。
 さて、「アメリカ国外で流通するドル」と言うと、
わかりにくいのかもしれませんので、
具体的な事例で考えてみましょう。
 これは、外国為替の専門家の著書を書評で取り上げた時に書きましたが、
ドルには、「仲介通貨」という機能があります。
 たとえば、日本で人気のチリワインについて書きましょう。
日本がチリからワインを買う時は、どうするか。
 ワインの代金を「日本円」で払うことはできません。
チリの人たちは、「日本円」を持っていても、
国内で使うことができず、困ってしまいます。
 日本は、世界で最も信用できる国だと言われますが、
さすがに、チリの人たちは、「日本円」を受け取れないのです。
 だからと言って、日本が「チリ・ペソ」を用意することは困難です。
そもそも、国際的に見て「チリ・ペソ」の流通量は少ないのです。
 このような場合は、日本は、ドルを調達して、
ドルでワインの代金を払うのです。
 これが、基軸通貨の意味であり、「仲介通貨」という機能です。
ドルは、アメリカとは関係ないところで動いているのです。
(もちろん、このような大きな取引は、
ニューヨーク連邦銀行のドル口座を経由していると思います)
 そういうわけで、アメリカが関係していなくても、
世界のどこかで貿易があれば、ドルが調達されるのです。
 輸出ばかりしていると、ドルが貯まってしまい、
輸入ばかりしていると、ドルが減少してしまいます。
 日本や産油国のように輸出するものがあれば、
ひたすらドルが貯まっていきますが、
輸出するものがない国は、ドル不足に悩みます。
 その結果、自国通貨をアメリカ・ドルにしてしまう国があります。
これならば、自国通貨を印刷する手間がなくなる上に、
ドルを調達する手間もないでしょう。
 さて、話が大きくそれてしまいましたが、
アメリカのFRBは、利上げについては慎重に進めるべきだと思います。
















































































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